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パリ・オペラ座 -シャガールの天井画-

2007-10-10

東京の上野の森美術館で、今週末の13日から「シャガール展」が開催されます(期間:10月13日~12月11日)。「写真家イジスの撮ったシャガール」という副題がついていますが、案内ポスターに使用されている写真は、「パリ・オペラ座の天井画に修正をするシャガール」をイジスが撮影したものです(東京アカデミー蔵)。実は、私はこの実物のシャガールの天井画を見たことがあるのですよ~!

私の主な趣味は、海外旅行・美術館巡り・オペラ鑑賞です。これまで出かけた海外旅行はヨーロッパが主体ですが、ここで3つの趣味満載の個人旅行を体験してきました。

色んな国でオペラを観ましたが、オペラ座で一番記憶に残っているのはパリの「ガルニエ・オペラハウス」です。このオペラ座は荘厳な建物で有名ですが、設計者のガルニエ氏の名にちなみ「パレス・ガルニエ」(ガルニエ宮殿)とも呼ばれています。

2年前の春、このオペラ座でモーツアルトの晩年の作品「皇帝ティトの慈悲」を鑑賞する機会がありました。先ず、オペラ座のエントランスのファザードの威容に驚かされました。そして、大理石をふんだんに使った豪華絢爛なロビーや付属の図書館を通り過ぎてやっと観客席にたどり着くと、眼前に広がる大空間に圧倒されます。この空間は桟敷席loge(ロージェ)で囲まれており、ドーム型の天井には1964年に掲げられたマルク・シャガールの絵が観客を見下ろしています。そこには、楽しげにダンスをしたり音楽を奏でる人々や、パリの街並みなどが色彩豊かに描かれています。このような雰囲気の中で、それなりに正装してオペラグラスを片手に開演時間を待っていると、自ずと高揚感に包まれたことを思い出します。

また、オルセー美術館にはこのオペラ座の模型が展示されていますが、これを見ると舞台の後部には広大な舞台装置格納空間があることがわかります。そこには、過去の実演の時に使われた古い舞台装置や衣装などが保管されている地下室や倉庫が沢山あり、まるで迷路のようになっているようです。また、この地下室の工事中には大量の水が湧き出てきて大変だったことや、実際にシャンデリアが落ちる事故があったそうです。・・・このエピソードで皆様もピ~ンときますね。そう、まさにミュージカルの「オペラ座の怪人」の舞台が、このパリのオペラ座であるのです。

シャガールの天井画が観客を見下ろすガルニエ・オペラ座での鑑賞は、伝統と歴史を身近に感じながら歌劇を楽しめる贅沢な時間でした。

当美術館でも、来年度の特別展に「シャガール展」を開催する予定にしております。どうぞお楽しみに!!