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「ローマ人の物語」

2007-11-03

読書・芸術の秋たけなわとなりましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。

私の愛読書の一つローマ在住の塩野七生著の「ローマ人の物語」は、1992年に刊行が始まり、以後、毎年1冊ずつ発行され15年の歳月をかけて昨年12月に第15巻目が出版され完結しました。単行本全15冊とかなりボリュームがありますが、これは文庫本でも刊行されています。 本シリーズは、あくまで小説として扱われてはいますが、莫大な量の文献・資料を基に書かれていて、ローマ史にあまり興味のない日本人読者にも古代ローマについての関心を持たせたベストセラー小説です。

「ローマ人の物語」は、ローマの建国(紀元前8世紀)から滅亡(5世紀~6世紀)までの、およそ1200年間におよぶローマ帝国の「一生」を綴っています。イタリア半島の中部に築かれた一都市に過ぎなかったローマが、どのように勢力を拡大し、繁栄し、そして滅んだのか。本書はこれを「ローマ」に生きた人々を通して、生き生きと魅力的に、そして実に鮮やかに描き出しています。

一般的に、私たち日本人にとってローマ時代はヨーロッパの古い歴史に過ぎないイメージしかありませんが、ヨーロッパ各国の人々にはヨーロッパ文明のバックボーンとして影響を与え続けています。 また、美術の世界においては、ローマ時代の芸術を復興・再発見しようと試みた美術活動を総称して「ルネッサンス(復興・再生)」と言われております。イタリアルネッサンス期を代表する三大巨匠と呼ばれているのが、ダビィンチ、ミケランジェロ、ラファエロです。彼らが後世に残した多大な功績を取ってみても、ヨーロッパ文明におけるローマ時代の影響力の大きさを痛感させられます。

ローマ時代の歴史は、まさに“温故知新”の宝庫であると言えます。ヨーロッパ旅行の際に、ローマ時代に関する知識が少しでもあれば、思い出はいっそう印象深いものになるでしょう。 当美術館のアートサロンKには、文庫版の「ローマ人の物語」を置いています。コーヒーでも召し上がりながら、時間の許す限りお読みいただければ幸いです。