故イヴ・サンローラン氏のコレクション
昨年6月に逝去したイヴ・サンローラン氏と、彼のパートナーであるピエール・ベルジェ氏が所蔵していた美術品・工芸品の競売が、パリのグラン・パレ展示場で行われたというニュースに興味を持ちました。
ピカソやゴヤ、ドミニク・アングルやモンドリアン等の絵画、デザイナーのクロード・ラランヌによるアールデコ調の宝石類、彫刻や家具などのコレクション約700点が英競売大手クリスティーズで競売にかけられ、3日間に亘るオークションが終了しました。
注目を集めていたパブロ・ピカソの『小テーブルの上の楽器』は、コレクション中最高額の2500万ユーロ(約30億円)の誘導価格がつけられましたが、これに届かず落札されなかったそうです。また、中国・清朝時代の離宮から英仏連合軍によって略奪されたとされるブロンズ像2体が競売に掛けられることに、中国政府はこのブロンズ像の返還を求め提訴していましたが、仏裁判所は法的管轄権がないとして訴えを退ける判断を下し、このたびの競売に出品され1体あたり1400万ユーロ(約17億3500万円)で落札されたとのことです。
世界大不況下でのオークションでも、景気悪化など関係なしといった記録的な高値で落札され、個人所有の美術品競売では世界最高額となる460億円の落札総額となったと伝えています。
20世紀のファッション界をリードし、フランスの最高級ブランド「イヴ・サンローラン」を創始したイヴ・サンローラン氏の美術品コレクションは、超々一級品揃いで、一目本物を観たかったと思う人は世界に数多いたことでしょう。
*画像はAFPBBNewsより
パブロ・ピカソ作「L’instrument de musique sur un gueridon」
フランシスコ・デ・ゴヤ作「Luis Maria de Cistue y Martinez」
中国・清朝時代「ネズミの頭(左)とウサギの頭のブロンズ像」