オーストリアの画家
昨夜、BSテレビでオーストリアのグスタフ・クリムト(1862~1918年)とエゴン・シーレ(1890~1918年)の二人の画家を特集した番組を観ました。
十年近く前、珈琲ショップを経営する友人から店内に飾る絵の相談があり、その時お勧めしたのがクリムトの有名な作品「接吻」でした。絵は店内の色彩とマッチしショップを豪華に演出してくれました。
「接吻」は、金銀箔を多用した豪華絢爛に装飾的な様式で描かれたものでクリムトの代表作品です。クリムト自身と恋人がモデルと言われ、平面的な背景に今まさに口づけをしようとしている二人を崖の先端ぎりぎりに配置して、人生の儚さや危うさ、脆さなどを表現していると解説されています。
ウィーン分離派を創設した一人「クリムト」は、19世紀末のウイーン画壇ではタブーとされていた裸体、妊婦や性に関した作品を金銀色を用いて妖艶な女性の官能を描き続けました。
エゴン・シーレは、ウイーン美術アカデミー在校中にクリムトと出会い、クリムトのモデルを務めていた17歳の女性ヴァリを紹介され、ヴァリをモデルとした多くの作品を残しています。その後、結婚した妻をモデルに裸婦や妊婦作品を描いています。また、シーレは多数の自画像を描き、内面の苦悩や欲望などを激しく大胆に表現しました。現代アートの前兆を感じるシーレの作品は、20世紀後半頃にようやく評価されるようになったそうですが、現代を生きる私もかなりの驚きを覚えました。
師弟関係にあったクリムトとシーレは対照的な表現方法で女性美を官能的に描きましたが、1918年ヨーロッパ全域で流行したスペイン風邪に罹り、二人してこの世を去っています。
グスタフ・クリムト「接吻」
ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館蔵
エゴン・シーレ「座る画家の妻」
ウィーン・オーストリア美術館蔵