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秋の思い出

2007-11-18

冬の気配が日に日に増してきているこの頃、雲仙の紅葉もカウントダウンが始まり、冬もいよいよといったところです。

先日、来館の方から「ザクロ」と「ムベ」をいただきました。まるで作り物のように綺麗で食べるのが勿体なくて、鑑賞用に喫茶ルームで飾っています。子供の頃には、身近に感じていた山の中に自然にできる果実類も、高校卒業後千々石町を離れ生活してからは目にしたことはありませんでした。

「ムベ」には、故郷を懐かしく思うエピソードがあります。が、小さな子供の頃のことですので、記憶は断片的にしか残っておりません。

父の話によりますと、地区の秋のお祭りに「吾妻祭」があります。それは、雲仙岳山系の吾妻山(標高870m)という山に地区住民が登り、頂上にある祠で山の神様に一年の豊作を感謝し参拝するといったお祭りです。この祠は、祖母(父の母)たちが奉仕作業で、セメント、ブロック、砂や建築資材などを麓から手分けし運び上げて作ったそうです。 3、4歳の頃に一度、私は父に連れられ参拝しましたが、麓の田代原からの登山コースには、途中、鉄ハシゴやロープを張った傾斜の険しい場所が何箇所かあって、子供の私はその所になると父におんぶされて登ったそうです。そして、お参りを終えて下山する途中、道端に生えていた20~30cmくらいの小さなムベの蔓を見つけ、記念にと2人で引き抜き持ち帰り、千々石の自宅の生垣の中に植えました。それから、年々成長して毎年秋になると実をつけていました。

この地に引越した時、父が記念の物だからと言って美術館前の生垣の側に植え替えました。今では、高さが1m近くになり横に蔦をからませながら成長しています。30年近く成長し続けてきた我が家のムベの木は、ここで2度目の秋を迎えましたが、残念ながら実は生りませんでした。これからを楽しみにしています。