山本美術館 > ブログ > 古写真(郵便はがき)-4

古写真(郵便はがき)-4

2018-07-25

この写真は、「雲仙の秀峰を仰ぐ橘湾の勝景(其一) (小浜温泉名勝) 眺望雄大、碧海を隔てゝ THE FINE VIEW OF TACHIBANA BAY HAVING THE SIGHT OF MT. UNZEN FAR AWAY ON THE SEA, OHAMA HOT SPRINGS.」と説明が入っている戦前のものです。

左手前の山(丘)の形から推測して、現在の愛野展望台から唐比方面へ下る左側のジャガイモ畑の丘にあたる海側から雲仙岳方面を望んだ構図です。

写真では、海の中にはたくさんの大小の石が露出し、丘の上辺りには大きな石がいくつも点在していて、また丘斜面の木々はまだ小さくて山肌もほとんど見えています。その梺と海の間(海辺た)には鉄道が敷設してあり、二本のレールがはっきりと写っています。これを見ると大波や台風接近の時などはもろに波を受けたり被ったりして大変だっただろうな、ということがよく分かります。

写真が古くて焼けていることもありますが、手前の丘、線路と海辺の石ははっきりとし、眺望する海と雲仙岳山系は霞んでいますが、写真中央にある千々石海岸の松林や、その後方遥かな吾妻岳、九千部岳、雲仙岳の輪郭は現在の形そのままです。雲仙岳頂上付近は特に霞んでいるようですが、今の平成新山はもちろんありません。

昭和の初めに廃線となったこの線路道は、私たちが小学校低学年の頃は春と秋に行われる近場遠足「曲りの浜」の定番コースでした。もちろん、道は舗装してなくて時たま車が通ると、皆ならんで狭い道端に避けて、砂埃が舞い上がる中を歩いていました。

また、曲りの浜と言ってもこんな石ころばかりで、遊びにはあまり楽しい場所ではありませんでした。それでも男の子たちは時間いっぱい、各々がズボンの裾をまくって海の中に入り、小さな丸石を持ち上げては小魚や小ダコやガゼなどを探して遊びますが、出てくるのは大抵ヒトデが多くて、時たま小さなみな等を見つけては皆で取り囲んで喜んでいました。また遠足の度に、丸石を飛び歩いて滑って海に浸かる者も何人か出たり、お昼の弁当は夫々お気に入りの石の上で食べたりして楽しかった思い出ですが、今の小学校ではこのような場所への遠足は危ないからと、多分あっていないでしょう。自然の中で楽しく遊べる機会が少なくなり惜しいことと思います。