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モナ・リザの微笑み

2009-05-14

子供の頃、自宅の2階の踊り場にレオナルド・ダ・ヴィンチの有名な「モナ・リザ」の印刷物が飾ってありました。当時としてはモダンな作りの我が家は、玄関から2階天井まで吹き抜けに設計されていて、玄関を入ると微笑むモナ・リザが正面高くに見えていました。

普段は親しみを持ちながら見ていたモナ・リザも、夜中の暗闇で見るあの微笑みには一種の不気味さを感じていました。 と言うのも、夜中にお手洗いに行くのには自室からモナ・リザの前を通らなければならず、暗い中で浮かび上がる全てを見透かすような微笑みは、子供心に怖く感じたようです。しかし、怖さがあっても両親に外して欲しいとお願いしたことはなく、反対に通る度にチラッと見てしまうのですから、気になる存在だったことは間違いありません。

そのようなモナ・リザの本物に初めて対面できたのは、10数年前に妹と二人で出かけた初めてのヨーロッパ旅行です。ルーブル美術館の中で、日本人が大勢群がって観ていた絵が「モナ・リザ」でした。当時は今のように重厚なガラスケースには入れてなくて、ただ絵の周りにロープが張ってあるだけの他の絵画と同じような方法で展示されていました。

観る者を圧倒するような大きさはないものの、ダ・ヴィンチの得意としたスフマート画法で描かれた女性は優しさに溢れ、慈悲の心を感じさせる親密な微笑みを浮かべていました。

「モナ・リザの微笑み」は私の子供心を夢中にさせ、美しいものを美しいと感じる感性の基礎を育んだ大切な絵画作品の一つです。

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ルーブル美術館で撮影した「モナ・リザ」

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