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黒田記念館

2009-06-03

次に、今回初めて東京国立博物館横にある「黒田記念館」へ向いました。

日本の近代洋画の巨匠と呼ばれている黒田清輝は、東京美術学校の教授を務め、その後も洋画美術教育に多大な貢献をしました。この記念館は、美術奨励のために役立ててほしいとの黒田清輝の遺言で寄贈された遺産をもとに建てられ、毎週木・土曜日の午後(13:00~16:00)に無料で一般公開されています。

展示されている作品の中でも特に「湖畔」は有名で、箱根の芦ノ湖を背景に涼をとる清輝が奥さんを描いた作品です。清輝作品に度々登場する輝子夫人の美しさも然ることながら、遠くを見つめる澄んだ眼差しや全体の微妙な色彩に心惹かれました。

また、1899年に発表した「智・感・情」の全裸女性の立ち姿を描いた連作は、姉妹をモデルにした縦180cmの大画面で木炭の下絵に油彩したものです。当時の国内では、裸婦像そのものが不道徳という風潮の上にポーズの意味の不可解さも加わり理解が得られませんでした。が、1900年のパリ万博では日本の油彩画部門で一位の銀賞を取っています。清輝が本場フランスで西洋画を学んだ感覚に、日本の美術評論家たちの美意識が追い付いていなかったということのようです。 その他に木灰デッサン画、画稿や写生帳、清輝と家族たちの写真などを鑑賞しました。

清輝が描いたバランスの取れた人物像、画面の構成、色彩感覚など全てにおいて気品があり、とにかく“美しい”の一言でした。

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「湖畔」

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「智・感・情」(右から)