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日本民藝館「棟方志功展」

2009-06-06

次は、松園の優美さと打って変わって、棟方志功の豪快な肉筆画の世界です。

「日本民藝館」は、大正時代末期から展開された民藝運動の指導者・柳宗悦が創設した美術館で、親しみのある温かい雰囲気の佇まいです。

柳宗悦は、全国各地の無名の職人たちが作った民芸品・日用品などを調査・蒐集、民衆的工芸品の美の認識と普及に努めました。また、棟方志功の才能をいち早く見出し世に送り出した人物で、宗悦を師と仰いだ志功は完成した作品をまず真っ先に直接柳の元へ届けていたとのことです。

現在、「特別展 棟方志功-倭画と書の世界-」が開催中で、今回はその膨大な所蔵作品の中から昭和10~30年代に制作された作品約100点の展示がありました。

版画を「板画」、肉筆画を「倭画(やまとが)」と呼び独自の世界観を持つ志功。板から生まれた板による板画を得意とした志功のもう一つの世界が、書法や画法にとらわれない自由で直接的に表現した「書」と「倭画」でした。

これらの作品からは、ますます自由奔放で豪快な勢いが感じられます。身体でぶつかるように力の限り描く志功の姿が浮かんでくるようで、描いているのではなく描かせていただいているのだと感謝の気持ちを忘れなかったと語る志功の温みも感じられるようでした。

他にも常設展示の東北地方の工芸品、アフリカ工芸品、朝鮮時代の陶磁器などの民芸品、民藝運動に参加した浜田庄司や河井寛次郎の作品などを鑑賞できました。

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倭画「乾坤飛駆天妃図」      書「不生」