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ヒマの活け花

2019-06-29

6月終わりの活け花稽古では、私たちはヒマと呼んでいますが正式名称はトウゴマと言うひまし油が採取できる赤い個性的な枝葉を真に使った三種活けでした。

いつも活け花を飾る美術館入口のスペースには他の生花を飾っていたので、とりあえずサロンの一角に置いていました。お客様が帰った後、受付で次回企画展の準備等をしているとサロンの方から一瞬何かの音が聞こえてきました。父が入って来たのかなと思いながらあまり気にせずに作業を続けていると、今度ははっきりと何かが倒れる音がしました。手を止めてサロンを覗いてみると、テーブルに活け花の2本のヒマの枝が倒れていて実や水滴が飛び散っています。剣山に挿したヒマの根元が腐れて耐えきれずに倒れてしまい、それに花器に張った水にはヒマから出た油も浮かんでいます。水を替え腐れた部分を切り再度活け直しましたが、その後も幾度となく倒れて、その度に腐った部分を切り取り活け直す作業を繰り返していました。段々ヒマの長さが短くなり恰好も付かなくなってきたので、また私が根負けしたのもありますが、もったいなく思いながらも処分することにしました。

ヒマは長持ちしないとは思っていましたが、これだけ湿度が高いと本当に3日と持ってくれませんでした。しかし、活け花をご覧になったお客さんやフラワー教室の生徒さんたちからは、「珍しい木ですね」、「初めて見ました」、「綺麗な色ですね」とか好評だったので、良しとします。(N)