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北斎の風景画(4)

2009-07-01

「諸国滝廻り」と同年に、各地の海や川で漁を獲る男性をテーマにした「千絵の海」シリーズ(10作品)を発表しています。自然と人物を組み合わせた情景には、親しみやすさが加わり、漁夫たちの心意気までが伝わってくるようです。

これは、「富嶽三十六景」の素描や下絵、各地の種本などを参考に描いたと言われています。その中で「総州銚子」は「神奈川沖波裏」を彷彿させる作品で、荒波に負けずに漁をする男たちの様子がエネルギッシュに描かれています。「五島鯨突」は高所から全体を見下ろした視点で、五島地区の捕鯨の様子を詳細に描いています。

静止することなく変化を続ける水というものに魅せられた北斎は、水をテーマにした作品も多く制作し、北斎ならではの奇抜な構想で描いて私たちの目を楽しませてくれています。

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「総州銚子」 千葉市美術館蔵

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「五島鯨突」 東京国立博物館蔵