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浮世絵から生まれた表現・言葉

2009-07-28

浮世絵は絵師の名前だけが表面に出て、彫師・摺師は表舞台には出てきませんが、絵師・彫師・摺師のそれぞれの高い技術が集結して一枚の作品が完成します。

陰のアーティストである彫師・摺師の仕事を見てみると、例えば歌麿の美人画で人物の髪の生え際の毛は1mmの間に3本の毛を彫っていますし、ぼかしや透かしの摺りなど、長年の経験から生み出された優れた技があって素晴らしい浮世絵が完成するわけです。

そのような浮世絵制作に由来する表現や言葉があります。浮世絵の摺りの作業は「錦摺る畳の上の車力かな」と詠まれるほどの力仕事で、安定した力を出せるように版木の前に胡坐を組み摺ります。これから「仕事が板につく」という表現が生まれたと言われています。また、色を摺り合わせていく中でズレが生じないために見当と言われる目印をつけますが、「見当違い」「見当をつける」「見当はずれ」という言葉は、摺師の技に由来する言葉だと伝えられています。

浮世絵は、日本の生活に根づいた日本美術の代表と言えます。

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喜多川歌麿「江戸名物錦絵耕作 画師 板木師 どうさ引」

シカゴ美術館蔵