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江戸の本屋さん(浮世絵の販売・価格)

2009-07-30

江戸庶民の間で花開き親しまれた浮世絵は、版元の軒先を店舗とした「地本問屋」や、規模の小さい「絵草紙屋」と呼ばれる小売の本屋で販売されていました。

浮世絵に描かれている当時の浮世絵販売の様子を見てみると、作品は竹ばさみに挟んで店先に所狭しと並べられ、一押し作品についてはタイトルを大きく書いた張り紙や短冊を張って目を引くようにしてあります。お客は購入した作品は、くるくると丸めて持ち帰っています。

定価のなかった浮世絵は、材料費や制作事情、販売のターゲットによって値段が設定されていたようです。当時は相場の変動も激しく一概には言えませんが、掛け蕎麦一杯が16文(現在の300円位)だったのに対し、大判錦絵が20文くらいであったと言われています(山東京伝作「荏土自慢土産杖」参照)。また、役者絵などは古くなるとさらに価格が下がり、3文から6文ほどで購入できたようです。

浮世絵が庶民の間に広く普及し、気軽に楽しめたことが分かります。

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三代豊国「今様見立士農工商 商人」静嘉堂文庫蔵