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創作版画の発展

2009-09-07

創作版画は、日本の伝統木版画である浮世絵の最高級の版画技術には到底太刀打ちできないと言った問題をクリアするために自画・自刻・自摺の版画を提唱したとも言えます。

西洋画を学んだ若い画家たちが中心となって制作を始めますが、山本鼎は近代的で装飾性に富んだ版画を制作していますし、坂本繁二郎の木版画を見てみると主線となる墨線はなく色版を重ね合わせて西洋画的な木版画を創り出しています。

このように、洋画の付録的な創作版画から昭和の始めになって版画独自の動きが出てきて、平塚運一が全国を回って木版画の講習会を開いたり版画誌が活発に発行されたりして全国に創作版画が普及し、版画の特性を生かした木版画が完成され美術界に確固たる地位を築きました。

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山本鼎「ブルトンヌ」

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坂本繁二郎「阿蘇五景 阿蘇の噴火口」(木版)