創作版画の方法と作家
2009-09-09
創作版画では、木版画に拘らず石版画・銅版画・シルクスクリーンなど多様な制作方法が用いられています。創作版画の創始期を山本鼎と共にリードした織田一磨は、近代化の進む都市の風景などを石版画で制作しました。
多岐に渡る芸術活動の一つの分野として創作版画作品を手掛けた作家もいます。例えば、叙情画家と呼ばれた竹久夢二やデザイナーの先駆けである杉浦非水、工芸家として有名であったバーナード・リーチや藤井達吉などです。また、第1回重要無形文化財保持者(人間国宝)の富本憲吉は、写生に基づく優れた文様を創作し、それらを自刻木版画として制作しています。一方、「銅版技法の神様」とも言われている銅版画家の深澤幸雄は版画のみならず、陶芸、ガラス絵、自らの詩の書など多分野にわたって作品を制作しました。
創作版画は、自由な発想で個性を競い合いながら版の上に自己表現をしていき豊かで多彩な作品に溢れています。
富本憲吉「富本憲吉自刻木版画集 山蛾」
深澤幸雄 「黒い花」