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江戸初期の版画

2009-09-19

版画とは版によって描かれた絵を総称していいますが、フリーハンドで描くのではなく、あるモノを用いて摺られた絵は版画の仲間と考えられます。

江戸初期の琳派を代表する俵屋宗達の作品に、シダの葉を用い金銀の文様を摺った作品があります。本阿弥光悦の激しくも美しい書と、俵屋宗達の華麗に摺り出したシダの葉の文様が見事にマッチしています。

当時、和歌を美しく記した和紙には手書きの装飾だけではなく、版と版を合わせ竹や蔦などの植物文や鹿や蝶等の動物文などを摺った和紙が用いられ、和歌巻物や謡本を作り上げています。そしてそれは、金・銀・雲母で摺られていて豪華に書を盛り上げています。

この和紙の文様の描き出しに関わったのが俵屋宗達率いる琳派の絵師で、版を用いた間接的な表現が時に好まれていました。

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本阿弥光悦・書/俵屋宗達・下絵 「和歌巻切」 福岡市美術館蔵

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嵯峨本謡本「松風」 町田市立国際版画美術館蔵