山本美術館 > ブログ > 眼鏡絵

眼鏡絵

2009-09-21

眼鏡絵とは、レンズ付の暗箱または鏡とレンズを組み合わせたのぞき眼鏡で鑑賞する風景画です。

ヨーロッパから日本に銅版の眼鏡絵が伝わったのは18世紀後半のことで、円山応挙・歌川豊春などが肉筆や木版で描いていました。

1783(天明3)年、司馬江漢はヨーロッパと同じ銅版画で眼鏡絵「三囲景」を制作しました。墨線のみ銅版で摺られ手彩色が施されたこの作品が日本初の銅版画作品として知られています。

1788(天明8)年の江漢が42歳の時に長崎に出向きますが、旅行の道中で出会った人々に持参した自身の描いた眼鏡絵と、江漢監督の簡単に組み立てられるのぞき眼鏡で遠近感を強調した江戸の風景をのぞき見させ、別世界が現れたような感覚に驚く人々の様子を楽しんだとのことです。

また天文学や地理学の普及にも努め、日本初の銅版世界図も制作しています。

1253500276_img080-1

司馬江漢「三囲景」 神戸市立博物館蔵

1253500276_img081-1

司馬江漢「地球図」 神戸市立博物館蔵