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中国版画の始まり

2009-10-02

中国最古の版画は、前述した通り8世紀の唐代に四川省成都出土の「陀羅尼経咒」ですが、同じく唐の時代の重要な作例として敦煌で発見された「金剛般若波羅密経」の見返絵があり、現在イギリスの大英博物館に所蔵されています。

唐時代から宋時代にかけては仏教版画を中心に制作が行われますが、徐々に仏教版画以外に版本の挿絵から一枚摺りの風俗画へと活動の幅が広がっていきます。金時代に甘粛省黒水城で発見された「四美人図」などの風俗画は、技術的にも水準が高く鑑賞し得る絵画的作品となっています。

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作者不明 「金剛般若波羅密経」の見返絵 868年

大英博物館蔵

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平陽姫家刊「四美人図」 金(885-1234)