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中国・彩色版画の登場

2009-10-04

中国の彩色版画は、色を重ねるという意味で「套印(とういん)」と称し、一枚の版木で色分けをして摺る一版多色摺りの作品を「一套」と呼びます。

「一套」が登場したのは元時代1300年頃のことで、書物の挿絵や鑑賞作品としての大型版画、民間版画(年画)などが制作されていき、中国版画の基礎を形成した時代となりました。

明時代(1368~1662)には、版画制作が大衆化され、絵入り本が多く刊行されるようになります。代表作「西廂記」を始めとして優美な彩色版画の「硃訂琵琶記」、日本人にも馴染みが深い「西遊記」や「水滸伝」などの優れた版画の絵入り本が刊行されます。

明時代は、庶民の意識高揚と結びついて版による彩色が行われ技術力が向上し、表現方法が多様化したことなど文化的に発展した重要な時代になりました。

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閔斎仍画 「西廂記」 1640年

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作者不明 「硃訂琵琶記」 1621-27年 国立公立書館蔵