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中国・蘇州版画と浮世絵の関係

2009-10-14

中国・蘇州版画は江戸初期、中国船とオランダの貿易船によって大量に長崎の港に入ってきました。そして日本各地に広まり、江戸の浮世絵師たちも蘇州版画を観る機会があったと思われ日本の浮世絵制作に大きく影響を与えたと言われます。

また、蘇州版画は民間版画とも呼ばれ、代表格が年画と言われる色鮮やかに仏の姿が描かれた木版画です。これは、新しい年が豊穣で平和に満ち幸福な生活が出来ますようにと願って新年に飾る絵(木版画)ですが、長崎では年画を模倣した作品が制作されていたことが知られています。年画とその後長崎で制作される長崎古版画は、素朴な力強さや制作方法などに共通点を見ることが出来ます。

錦絵の創始期と蘇州版画の技法的な共通点も多くあることが指摘されており、わが国の錦絵完成には中国の版画技術の受容や模倣があったのではないかとも考えられているようです。

こうして高度な技術を持つ色彩鮮やかな木版画は、中国と日本を中心として発展していきます。

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瑤池献寿図

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鈴木春信「春の嵐」 太田記念美術館蔵