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西洋版画の始まり

2009-10-20

版画が8世紀後半に中国と日本で誕生し発展してきたことは前に述べました。ヨーロッパで最初に登場した版画も木版画で、14世紀後半のことです。なぜ東洋より600年近く遅れたかと言うと、それは「紙」に密接に関係があると言われています。

手漉きの製紙方法は古く紀元105年に中国で発明され、その後東は日本へ、西はシルクロードを伝って徐々に伝播し長い時間をかけてヨーロッパへと達しました。

それまでのヨーロッパでは家畜の皮で作った「羊皮紙」が筆写などに使用されていましたが、木版画の摺りに適している手漉き紙がヨーロッパで安く供給されるようになって初めて木版画が登場することになります。

それからの後、ヨーロッパでは木版画を起源として銅版・石版と様々な技法が編み出されていきます。

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作者不明「ライオンの刺を抜く聖ヒエロニムス」

町田市立国際版画美術館蔵