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オランダ旅行記-(17) シーボルトハウス

2010-01-23

ドイツ人のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796-1866年)は、江戸後期(1823-1829年)にオランダ政府が派遣した長崎・出島のオランダ商館医で、出島を拠点に日本を研究しながら「鳴滝塾」を開き日本人に蘭学を教えた長崎に馴染みの深い人物です。

シーボルトは日本滞在中の7年間に、日本の民族、文化、動植物、風土、そして政治制度など包括的な情報の収集に精力を傾け、総数2万5千点もの品々をコレクションしています。帰国後はライデンに居を構え日本研究家として活躍し、ヨーロッパにおける日本学の基礎を築きました。「シーボルトハウス」はシーボルトコレクションを基に2005年、かつてシーボルトが居住した家を一般公開し、日本文化を紹介している博物館です。

館内は7つのテーマ別展示室に分かれており、日本の絵画、古版画、陶磁器、漆器、化石、植物標本、動物の剥製、硬貨や生活用品などの所蔵品のうち800点余りが常時展示公開されています。

特別展示室では「日本刺青展」が開催中で、国芳や三代豊国などの登場人物に刺青が刻み込まれた武者絵を中心としたユニークな展示です。また、別室の浮世絵コーナーでは美人画と春信や英泉などの春画が多数展示されていて、刺青や春画を一つの日本美術として紹介。それらを偏見なく美術作品として鑑賞する、自由で大人の国と言われるオランダの人々のオープンさを感じました。

シーボルトハウスは、オランダ国内にある日本センターとして日本に関するあらゆる情報を提供する窓口としても使われています。シーボルトが日本文化をヨーロッパ全体に広めた功績と共に日本人の私にも改めて日本文化の素晴らしさ、奥の深さを認識させてくれました。

博物館の閉館時間ぎりぎりになって予定したスケジュールを終え、すっかり陽が沈んだ夜のアムステルダムへ戻りました。多くの美術館や観光地を見学した私の頭の中は、ホテルに戻ってもまだフル回転し数々の作品から受けた感動の余韻を引きずったままで、とても充実した一日でした。

1264208306_img206外観(パンフレットより)

1264208306_img205日本船、兜蟹、様々な木の板(パンフレットより)

1264208306_img203日本刺青展のチラシ

1264208306_CIMG7678-1浮世絵(相撲絵)や和服、扇などを紹介するブース