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「歌川国芳」

2008-04-22

前回「河鍋暁斎」について書きましたが、今日は彼の浮世絵の師匠である「歌川国芳」について紹介します。

歌川国芳(1797~1861)は、広重と同じ歌川派で、幅広い画域で奇想的感覚を発揮し、優れた作品を残している江戸後期を代表する巨匠絵師です。

国芳は、斬新な構図の武者絵を始め、風景画や花鳥図、美人画や風俗画、戯画や風刺画等々、浮世絵のジャンル全てにおいて質の高い作品を制作しました。中でも戯画は、同時代に活躍した広重の風景画と並び称されるほど人気があったそうです。

戯画とは、おかしみのある絵のことをいいますが、国芳の戯画作品に『みかけハこハゐがとんだいゝひとだ』や『年が寄っても若い人だ』というものがあります。人間や干支を組み重ねて人物の顔を構成するという表現方法の作品は、ふんどしが眉になったり、干支が目・鼻・口などになっているという、一目見て遊び心のあるとても面白い作品です。

他に、国芳は猫や金魚、狸や亀などの動物を擬人化した戯画等も描いており、楽しく笑いながら鑑賞できる作品をたくさん残しています。このような作品は、肩の力を抜いて皆様に楽しんで頂けるのではないかと思います。

  『みかけハこハゐがとんだいゝひとだ』 個人蔵

『年が寄っても若い人だ』 日本浮世絵美術館蔵