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「世界のムナカタ」特別企画展

2008-04-29

当館では現在「棟方志功とゆかりの版画家展」(~6月1日)を開催中です。

今回は、棟方志功と、志功がその版画に感銘を受けた川上澄生、並びに彼が版画の道を学んだ平塚運一の作品を展示しておりますが、棟方志功、川上澄生、平塚運一の関係について少し紹介します。

棟方志功は、雑誌で見たゴッホの油絵「ひまわり」に大きな衝撃を受け、油絵画家を目指し「わだばゴッホになる」と1924(大正13)年21歳の時に上京します。

それから1926(大正15)年、版画家・川上澄生の作品「初夏の風」を見て感銘を受け、版画を志すきっかけとなりました。

1928(昭和3)年には、同郷の先輩の下沢木鉢郎と一緒に版画家・平塚運一を訪ね、版画を始めます。また、この年の帝展に油絵「雑園」を出品し初入選を果たします。この頃から、本格的な版画制作を始め、初期の頃は川上澄生に似た作風の木版画作品を制作していました。

しかし、平塚運一は、川上風の南蛮趣味は棟方には合わないとみて、黒白版画の良さを熱心に説き、アドバイスをしたそうです。

その後、棟方志功は研鑽を重ね、志功独自の「板画道」の世界を築き上げ、仏典に拠る題材や仏教の影響を受けた作品などを数多く残し、あらゆる人々の心に自然と人間の生命の逞しさ、美しさを強烈に印象づけています。

これらの作品には三者三様の特化した個々の表現があり、独自の世界を垣間見ることができます。

美術館は、GW期間中休まずに開館いたします。この機会に、「世界のムナカタ」と志功の師で創作版画の巨匠・平塚運一の作品等をご覧くださればと思います。