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土屋光逸「雪の堅田浮見堂」

2010-03-10

当館では今、「浮世絵&新版画の風景版画展」(~4月25日)を開催しており、今回は6人の作者の作品13点を展示紹介しています。

その中に、土屋光逸の「雪の堅田浮見堂」という作品があります。これは、広重の近江八景の一つ「堅田の落雁」で名高い滋賀県大津市の琵琶湖畔に突き出た海門山満月寺の夜の雪景色を描いた作品です。「浮御堂」が正式名称ですが、光逸は「浮見堂」とタイトルをつけています。柔らかい雪が浮見堂や近くの木々にこんもりと降り積もり、濃紺から白色のグラデーションと抑えた色彩の中に灯篭の黄色い灯りがぼんやりと輝く叙情豊かな作品です。

光逸は昭和初期頃の日本の風景をたくさん描いています。作品によってスタイルの異なる画風が特徴で、伝統木版画の新たな息吹を存分に堪能できます。皆様もご覧になってください。

1268188240_img213-1土屋光逸「雪の堅田浮見堂」(昭和9年)