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風俗画の始まり

2010-04-09

浮世絵が庶民に親しまれ発展したのは人間の生活の様子「風俗」を題材としているからですが、国内で風俗画が描かれ始めたのは桃山時代から江戸初期にかけてです。 この時代に初めて絵画の主題に名もない庶民が選ばれ、庶民の人間としての美しさが表現され始めました。

絢爛豪華な桃山美術の中心的画家であった狩野永徳(1543~1590年)の初期作品に国宝「洛中洛外図屏風」がありますが、この二隻の大屏風には2485名の人物が描かれているそうです。 当時の祇園祭で賑あう京の下町風情や、御所や清水寺を歩く人々の姿が活き活きと繊細に描写されています。 これは初期風俗画の代表作品と言われていて、狩野派の絵師たちが中心となり遊楽図、洛中洛外図や歌舞伎図などの風俗画を描きました。 その後、寛永期風俗画から寛文美人図へと発展し、やがて浮世絵へと繋がっていきます。

風俗画の流れが江戸時代の浮世絵を創り出し、世界に誇る日本の伝統的美術品の代表となった美術の歴史に愛しささえも感じられます。

1270788878_img267狩野永徳「洛中洛外図屏風」(右隻 部分) 桃山時代

米沢市上杉博物館蔵