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平城京遷都1300年観光旅行(8)  唐招提寺

2010-05-20

鑑真和上(中国、688~763年)は、朝廷からの「伝戒の師」として招請を受けて渡日を決意。12年間に5度の日本渡来に失敗し視力を失いますが、それでもくじけず6度目にして遂に来日に成功した強い信念を持つ人物として知られています。その渡航の様子が「東征伝絵巻」(重文)に描かれています。

唐招提寺は、鑑真和上が来日した翌年の754年に創建した寺で、金堂は奈良時代建立の金堂としては現存最古の建築物で国宝に指定されています。堂内には中央に本尊の盧舎那仏坐像、右に薬師如来立像、左に千手観音立像の3体の尊像が安置されていて、3~5mの堂々とした大きさの仏像は顔や身体の金箔が所々ひび割れたり剥げ落ちたりしていますが、当時は黄金に光輝いていただろうと想像できました。

御影堂には国宝の鑑真和上坐像が奉安され、東山魁夷の襖絵や障壁画が収められていますが、毎年6月にだけ特別公開されているとのことで、残念ながら見ることができませんでした。

御影堂から北東にある鑑真和上の墓所「開山御廟」へと続く小路は、緑の木立に囲まれた歩道になっていて、参拝者で賑わう金堂や講堂などに比べ静かな佇まいを見せています。御廟近くには、鑑真の故郷である中国揚州から贈られたという紫陽花に似た瓊花(けいか)の花が小さな白い花を咲かせていました。

緑が溢れる寺院はゆっくりと時を過ごしたいと思わせる場所です。川のせせらぎが聞こえ、つつじが咲き誇り、木々の若葉が木漏れ日を浴びてきらきらと照らし出される情景に心清らかになったようでした。

1274327249_NONALNUM-B6E2C6B2金堂(パンフレットより)

1274327249_img325-1-1金堂の盧舎那仏坐像(パンフレットより)