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国芳の影絵

2010-08-12

「武者絵の国芳」とのイメージが強い歌川国芳(1797~1861年)ですが、ユーモラスな作品には自ら「国芳戯画」と署名し多くの奇想的作品を残しています。その戯画作品の一つに「影絵」があります。

団扇絵「絵鏡台合かゞ身」(みみずく・獅子・般若面)は表裏をよく見比べると、左側の子猫と一本手で逆立ちしている猫は般若面になり、真ん中の猫はみみずくに変わり、右側のじゃれあう2匹の猫は獅子となり、ぶら下がった鈴が獅子の目になっています。大の猫好きとして有名な国芳は多くの猫を観察力鋭く描写していて、他にも猫の持つ様々な表情を面白く表現しています。

「其面影程能写絵 おかづり、ゑびにあかがひ」の影絵では、海老と赤貝となるシルエットの正体は陸地から竿を出して釣りをしている男性で、身体にはたくさんの葉が絡んでいます。海老のシルエットが種を明かせばただの海老ではなく、水辺の茂みで岡釣りをする男性の姿と言う国芳の着想やユーモアの懲り方は、現代の私たちに大いに笑いを運んでくれます。

国芳は人を喜ばせる、驚かせる、楽しませる、サービス精神旺盛で多才なアーティストです。

1281570551_img455-2「絵鏡台合かゞ身」(みみずく・獅子・般若面)

1281570551_img455-1みみずく・獅子・般若面(真ん中、右、左の順)

1281570551_img456-1-2「其面影程能写絵 おかづり、ゑびにあかがひ」

1281570551_img456-1ゑびにあかがひ