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浮世絵に描かれた昔話

2010-10-21

“むかしむかし あるところに・・・” と語り継がれてきた口承文芸の昔話が、江戸時代の延宝期~享保期(1673~1736年)にかけて朱色の表紙の子ども絵本として続々と刊行されました。さらに19世紀には美しい色摺りの浮世絵や草双紙となり、カラー画面で楽しめるようになりました。

この中心となった昔話が、金太郎と並び絶大な人気があったヒーロー「桃太郎」や、「かちかち山」「猿蟹合戦」「舌切雀」「花咲爺」の五大昔話です。

歌川芳幾の「昔噺鬼ヶ嶋入」を見ると、日本一の旗を立てたよろい姿の桃太郎が鬼の大将を組み伏せていて、犬、猿、雉もよろい姿で赤鬼・青鬼をやっつけています。歌川重宣(広重二代)の「昔ばなし一覧図会」では、子どもたちの大好きな物語(桃太郎、かちかち山、猿蟹合戦、舌切雀、花咲爺、ぶんぶく茶釜)の名場面が3枚続のワイド画面に描かれていて、巧みに動物たちを擬人化してあります。

昔話を題材とした浮世絵作品は、「絵を見ながら物語を楽しむ」絵本の原型ということができます。

1287648182_img013歌川芳幾 「昔噺鬼ヶ嶋入」 安政期(1854-1859年)

くもん子ども研究所蔵

1287648182_img014歌川重宣(広重二代) 「昔ばなし一覧図会」

安政4(1857)年 くもん子ども研究所蔵