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女の子の姫君への憧れ

2010-10-27

江戸時代の女の子の人気は、何よりも雅な姫君の世界でした。とは言え、庶民にはとうてい高嶺の花。きっと浮世絵に描かれた姫君の姿を眺めては、豪華絢爛な生活を想像し憧れを満たしていたのでしょう。

喜多川歌麿の「子ども遊び大名行列」は華麗な大名行列を子どもに見立て、5枚続のワイド画面に美しく着飾った行列を色彩鮮やかに描いています。 歌川国貞の「風流古今十二ヶ月ノ内 弥生」はひな祭りの様子を描いたもので、豪華な雛壇が飾られたその前で子どもたちが嬉しそうにはしゃぎ遊んでいます。また、部屋の外には満開の桜が描かれていて、江戸城大奥の優雅な生活が垣間見られます。

江戸時代は女性が自らの力で社会的に活躍するのは困難な時代でした。 庶民の娘たちは姫君の生活やファッションなどに憧れ、大奥まではいかなくとも旗本屋敷や武家屋敷にご奉公に上がるのを夢見て、寺子屋の手習いや行儀作法、裁縫などの稽古に励んで出世を願ったとのことです。

1288151281_img032喜多川歌麿 「子ども遊び大名行列」( 寛政頃(1789~1800年)

くもん子ども研究所蔵

1288151281_img031歌川国貞 「風流古今十二ヶ月ノ内 弥生」(天保頃(1830~1843年) くもん子ども研究所蔵