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万年青(おもと)の生け花

2011-01-17

万年青(おもと) は、日本原種の植物で古来から観葉植物として愛でられています。また、万年青の葉は一年中青々として次々と新葉を出し真っ赤な実をつけるので、「千々孫々まで繁栄する」として祝儀の花とされています。

生け花を嗜むものにとって「万年青」は特別の花材であり、池坊華道では七種伝の伝花とされています。先日のお稽古では念願の「万年青」に挑戦しました。

普段はすいすい(?)と進むお稽古も、今回ばかりは先生の図解を用いての説明と手直しが何度も入ります。生花は役枝を真副躰と名づけますが、万年青に限っては呼び名が変わり、「立葉」(真)、「露受葉」(副)、「前葉」(躰)、この他に「流し葉」を加えて四つの役葉によって調えます。わずか8枚と一つの実を添えるだけの一見単純な形ですが、葉の見極めと寸法取り、全体のバランスや角度が難しいものでした。

完成した青々と美しい葉と赤い実の二色のシンプルな一種活けの中に、日本独特の「さび」を存分に感じています。

1295238602_CIMG1496出来上がった「万年青」の生け花