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「一楽二萩三唐津」

2011-03-04

茶道を始めて数ヶ月が過ぎました。茶の湯はとても季節感を大切にしていて、季節によって道具を使い分けています。道具もたくさんの種類があるので、稽古を通して少しずつ憶えていってますが、毎回新しい発見と出会いがあって楽しいものです。

美術に携わる者として、お道具の拝見は特に楽しみにしています。今回の稽古で、薄茶は雛人形の描かれた色絵茶碗を、お濃茶では「赤楽焼」の茶碗を使用しました。千利休が茶の湯用にと長次郎(安土桃山時代の陶芸家)に作らせた楽焼茶碗は、「手捏ね(てづくね)」と言われる手法で作られた陶器で、手とヘラだけで形成するので歪んで厚みがありますが、手に持った感触や唇に当てた時の飲み具合がとても優しく柔らかいのに驚きでした。

茶人が好む茶碗を言い表した言葉に「一楽二萩三唐津」とあり、楽を最高としていますが、実際にお茶をいただく場合の実感から出た率直な言葉だと感じました。

茶道は、日常生活ではなかなか得られない時間と空間と一服のお茶が優雅な気持ちにさせてくれ、落ち着きを与えてくれます。

1299212467_img529長次郎 赤楽茶碗「無一物」 (桃山時代 頴川美術館蔵)