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サザンカと椿の花

2011-11-29

毎日、何気なく車を走らせている道路端では今、赤色や白色や薄い桃色をしたサザンカの花が満開となっています。

道路端に植えてある丸く刈り込まれたサザンカの多くは伸びた雑草に覆われていて、雑草の隙間から濃い赤や白い花を覗かせ、民家の整えられた生垣のサザンカは生垣全体に花びらを貼り付けたように並んで咲いていて、見る者を楽しませてくれます。

サザンカは、植物図鑑によると「ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹」で、同じツバキ科ツバキ属に「椿」があり、椿は「常緑中低木」と分類されています。サザンカと椿は姉妹花でよく似ていますが、花の咲く時期が違います。

山口県防府市生まれの漂泊の俳人・種田山頭火が全国を行乞しながら句作したことはよく知られ、日本各地には彼の句碑が500以上もあるそうです。山頭火はもちろん九州の各地も旅し、50歳のときの昭和7年2月から4月にかけて本県を訪れ泊まった所でいろいろな句を詠んでいますが、春の平戸で詠んだ句に「笠へぽっとり椿だった」があります。

美術館には、小﨑侃先生がこの句をモチーフにして制作された直筆の板絵とミニ色紙を置いています。いずれも、大きな赤い椿の花を一輪描き、句を添えた図案です。これらの絵からは、山頭火が実際に見たであろう椿の花の鮮やかさを想像させられます。

1322562709_CIMG4061板絵

1322562709_CIMG4060sh01ミニ色紙