徳力作品と明鏡止水の心境
2012-07-11
先日、開催中の徳力富吉郎展をご覧になった南島原市にお住まいの女性の方から、「徳力富吉郎さんの版画、感動しました。近くにこんな素敵な美術館があるのがとても好きです。海の見える美術館で・・・・」とご丁寧な礼状が届き、恐縮もあり嬉しくも思っているところです。
今回の「京の四季十二景」は、どの作品も色彩豊かです。特に、「嵐山の雨」の作品は、美しい自然の嵐山と穏やかな流れの桂川に細く緩やかな雨が降っている様子が描かれています。
画面の右手前に大きな松の木の枝を黒と深緑で配し、遠景の奥にある山は薄白く霞み、その手前の山は新緑で鮮やかに、そしてこれら嵐山の中心を流れる桂川を薄青で穏やかに、この桂川に架かる渡月橋は黄色く鮮明に表してあり、その橋をくっきりした赤と黄の傘を差した二人の女性(と思しき人)が渡っている構図です。
今の時期にぴったりの絵で、私もお気に入りの一つです。見ていると明鏡止水の心境になってきます。
徳力富吉郎「京の四季十二景 嵐山の雨」