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秋空高く。

2012-10-03

今季も、金木犀の花が日毎に甘くて強い香りを漂わせてきています。また、遅咲きした庭先のサルスベリの花がまだ枝先に少しずつ残っていて、この2、3日続いている強風に枝先は大きく揺られていますが、負けないで散らずに頑張っています。

今日のような秋空高く晴れ渡った日に部屋の中から外を眺めていると、旅への憧れが湧いてきます。

74年の人生の中で約40年を旅(写生)して過ごしたと言われる旅情の画家・川瀬巴水。橋口五葉に2歳年下で、伊東深水の新版画(近江八景)を見て版画に関心を持ち、最初の風景版画制作がちょうど五葉の最盛期と重なっています。

日本画、洋画、装幀家、イラストレーター、浮世絵研究家、版画制作などとマルチ才能を持ちながら短命に終わった五葉の風景画や、巴水が描いた日本各地の四季折々の風景画作品に郷愁をかきたてられながら、我慢して、私の旅はしばらくお預けとします。

1349235282_img001橋口五葉「湖畔:別府温泉 1910年頃 水彩」 (五葉展図録より)