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長崎市の公会堂

2013-02-06

長崎市公会堂を取り壊して、その跡地に長崎市役所の新庁舎を建てるというニュースが先日、新聞等で報道がありました。

このニュースに接し最初に頭に浮かんだのは、この公会堂は長崎出身の建築家・武基雄先生(早稲田大学教授)の設計によるもので、確か日本近代建築の重要遺構に選定されていたのではなかったかな、建物の構造的強度や耐震性などの専門的なことは分からないが、そのような物を簡単に取り壊してよいのだろうか。このことについて建築の専門家や大学の先生たちはどのように考えておられるのだろうか、という疑問でした。

私の前職場だった大学がやはり武先生設計の前長崎水族館を長崎市から購入して、その建物の半分は残して半分をリニューアルし大学の校舎として利用しています。リニューアルした部分はガラス張りの大形の箱のような外観で、それを長崎県五島石が貼られ重厚で風情がある旧建物部分に繋いであります。そして、この建物は後に長崎市の都市景観賞にも選ばれました。もっとも、建築関係の素人の目には石とガラスが何ともアンバランスに映り、都市景観賞というけど、これのどこがいいのかなと個人的には思っていました。(そう言えば、景観賞の選考委員長は誰だったかな?)

今回の公会堂取り壊しの報道について、昨日5日の長崎新聞に林一馬長崎総合科学大学教授(前同大学学長)の寄稿が「長崎市公会堂を取り壊してよいのか 再活用こそまちづくり さほど難しくないリニューアル」との見出しで掲載されていました。

林先生はこの中で、現公会堂をどうして潰してはいけないのかについて、大きな三つの理由を素人にも分かり易く解説されています。また、公会堂は日本二十六聖人殉教記念館と並んで、長崎市街に残る戦後日本近代建築の双璧というべき名建築であると紹介、新庁舎は現地での建て替え案を主張し、「・・・市民ならびに市議会や市当局の大英断、とりわけ引き返す勇気を望みたい。」と結ばれています。

まだ新聞をご覧になっていない方には是非読んでいただきたいと思います。

1360138492_image長崎市公会堂(ネット写真より)