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長崎中国交流史協会の定例研究会

2013-03-06

3日(日)15時から、長崎市内のホテルJALシティ長崎において長崎中国交流史協会の定例研究会があり出席しました。

今回の講師はお二人で、最初に協会会員の元中学校教諭、末永浩先生の講演「平戸生まれの鄭成功」があり、写真紙芝居を使っての発表でした。鄭成功ゆかりの地の長崎県平戸、中国福建省や台湾を旅して収めた写真に、歴史資料やノンフィクション小説を基にして自ら作成された紙芝居の初お披露目でした。

次に、興福寺の住職で松尾法道さんの講演「ご本尊胎内物発見」です。長崎市寺町にある「興福寺」は、400年程前に創建された古い黄檗宗のお寺として有名ですが、これまで火事や台風、戦禍や原爆に遭った過去があり、貴重な資料などはほとんど消失してしまっているため、詳しい寺の歴史は分かっていなかったそうです。しかし昨年秋、九州国立博物館と長崎歴史文化博物館の共同研究によるX線とデジタルカメラの調査で、興福寺にある五体の仏像の中の一つからご本尊の胎内に「五臓六腑」が発見されました。

ご本尊の内部には長方形の空洞があり、斜めに配置された平らで綺麗な形の五臓六腑と鏡が見つかったのです。その結果、仏像は中国で造られ日本に持ち込まれた事実の裏付けとなりました。五臓六腑には、「興」「月」などの文字がうっすらと見えるそうですが現在もまだ調査中で、今週から九州国立博物館でCTスキャンによる更なる調査が始まるとのことです。五臓六腑が何を語るのか、興福寺の新しい未来が見え、長崎や日本の新たな歴史が判明することを期待するとご住職は締め括られました。

久しぶりにお会いする会員の方々とも話しができ、現代の最新技術で浮かび上がってくる歴史の真相に胸をときめかせた研究会でした。(N)

1362557065_1002-1ご本尊のX線写真 全体 (興福寺通信新春2号より

1362557065_1003-1ご本尊のX線写真 胎内 (興福寺通信新春2号より)