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ヴェネツィアン・グラス

2008-05-21

喫茶ルームのカウンター前の棚にヴェネツィアン・グラスを飾りました。赤・青・緑のガラスに金と花の装飾が施してあり、ピカピカと輝いて華やかで涼しげな印象です。

ヴェネツィアン・グラスは、鉛を含まないソーダ石灰を用い鉱物を混ぜて様々な色を出すことが特徴ですが、高度な装飾性と華麗な絵付けで人気があります。

13世紀、ヴェネツィア共和国で作られるガラス製品はヨーロッパで最も進んだ技術を誇り、ヨーロッパ諸国へ独自に配給され貿易の中心となっていました。政府はその技術が他国に漏れないようにと、ガラスの原料や燃料、ガラス職人までを一つの島「ムラーノ島」に移しました。これにより、ガラス職人たちは狭い島の中で自ずと技術を競い合い、素晴らしい名品ができるようになります。ルネッサンス期にはその繁栄は頂点に達し、今でもムラーノ島には多くの工房が軒を連ね、豊かな伝統技術が受け継がれています。

そのヴェネツィアン・グラスで有名な「ムラーノ島」を、4年程前のイタリア旅行の際訪れたことがあります。知人お勧めのガラス工房で制作過程を見学した後、工房の担当者の案内で、展示販売をしている展示室で実に様々な種類の作品を鑑賞しました。1階から2階、特別室へと続くのに従い、徐々に装飾性が高く華麗で繊細な文様や年代物の作品が揃えてあります。もちろん、奥の部屋へ進む毎に価格も段々と高くなっていきます。 1階・2階に陳列されている作品を見て、これがいいと決めていても、やはり良いものをみるとそちらのほうが欲しくなります。私は即決タイプなのですが、この時は2時間近くも迷いに迷った末、思い切って特別室に飾ってあった物を一つ購入しました。 グリーンに金彩が彩られてありワイングラスのような形をした高さ30cm位の作品で、足の部分にも装飾が施してあるものです。予算をかなりオーバーしましたが、両親に素敵なお土産ができたと喜び、引き続きイタリアの各都市を廻る旅程だったので、直接、長崎の両親の元へ送って貰いました。が、到着した荷物を開けた母は、足の部分が折れているのを見てがっかりしたそうです。私も旅行から帰国して連絡を受けがっくりしました。父からは、そんな割れやすい作品を選ぶからと言われ、二重にがっかりしました。しかし、直ぐに工房へ連絡を取り、(補償があったので)同様のものを制作してもらい、2ヵ月後になって漸くまともな物が届きました。

そんなおまけ話しのついたヴェネツィアン・グラスは、現在、自宅リビングの飾り棚に旅の思い出と一緒に飾ってあります。

喫茶ルーム『アートサロンK』のヴェネツィアン・グラス