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シーボルトの絵師「川原慶賀」

2013-06-02

知人からオランダのライデン市を旅行中とのメールが届き、私も数年前に訪れた時の事を思い出しました。

ライデン市にはシーボルトが蒐集した日本に関する美術品などが多数所蔵されていて、その中にシーボルトの絵師と言われた川原慶賀の描いた食物画、人物画、風景画などが900点ほどもあることを知りました。しかし、常時展示での公開はないので、作品を鑑賞することはできませんでした。

川原慶賀(1786-1860以降)は長崎市で生まれ、幕末の長崎・出島で活躍した洋風絵師です。出島オランダ商館医であったシーボルトにその優れた能力を見出され、西洋の写実的な画法を徹底的に学びました。そしてシーボルトの要望で、多くの日本の文物を描いています。当時のシーボルトの手紙や著作物にはしばしば、慶賀の本名である「TOJOSKY(登与助)」が登場し、優れた芸術家であると賞賛しています。

慶賀作品は国内には100点ほどしかないと言われていて、実際に鑑賞する機会は少ないのですが、長崎市野母崎町にある観音禅寺の150枚の天井画の内4枚は慶賀が描いていて、御開帳となる毎年8月17日には見ることができるそうです。私も一回は見てみたいと思っています。(N)

1370138048_img003川原慶賀筆「唐蘭館絵巻(2巻)」より蘭館之巻「蘭船入港図」

(長崎文献社複製版)