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歌川国芳展

2013-07-24

参院選は自民党の圧勝で終わりましたが、私的には比例代表で応援していた候補者が今一歩及ばなくて残念な思いでした。

先日、長崎歴史文化博物館で開催中の「歌川国芳展 ~奇想の浮世絵師による江戸案内」を鑑賞しました。国芳は、広重や北斎と同時期の幕末時代に活躍した浮世絵師で、奇想天外のユーモアあふれる作品を数多く制作しています。

私が浮世絵収集歴の中で、国芳の作品に最初に関心を惹かれたのは「近江の国の勇婦於兼」という作品でした。女性が暴れ馬の手綱を下駄で踏みつけて鎮めようとしている構図です。当時は、国芳についてよく知らなかったし、於兼がどういう女性かも理解していなかったので、何とも逞しい女を描いているなと思いながら更に絵をよく見ると、馬は騎士が乗るような西洋風の馬で、背景の湖や山や雲は遠近法で描かれていて、何か心に残りました。

その後、役者絵や美人画、風景画はもとより、武者絵や様々なポーズの人物を組み合わせて一人の人物を描いた作品や、三枚続きのワイドな物語絵、子ども遊び絵、お化け絵、金魚や猫などの戯画等々、見る者を驚かせるたくさんの作品を描いているのを知りました。

同時に、こんなに多岐の分野に亘り、またこんなにユーモアやウィットに富んだ作品を創る人の頭の構造はどうなっているのだろうかと不思議に思い感心した次第です。今回は、長崎会場だけの特別展示「猫」の絵作品を集中しての鑑賞でした。

1374627569_img002歌川国芳「近江の国の勇婦於兼」