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童謡詩人「金子みすゞ」

2008-06-25

「金子みすゞ」の詩は心に染み入り、心優しくなります。どの詩も心の奥深くで響き合い、感性を揺さぶります。

先日、地元の新聞に「金子みすゞ記念館」の矢崎節夫館長が来崎されたとの記事が掲載されました。矢崎館長は、みすゞの散逸していた作品を探し求め編纂し、世に送り出した児童文学者です。

私の両親は、何年か前、山口の萩美術館へ行った折り長門市・仙崎のみすゞ記念館にも立ち寄り、みすゞの飾らない素直な心の詩に圧倒され、琴線に触れるものがあったと話していました。

「金子みすゞ」(1903~1930)は、本名をテルといい、彼女が童謡を書き始めた大正末期は、童話童謡雑誌が次々と創刊され、童謡の黄金時代で隆盛を極めていました。その中に彗星の如く現れ、ひときわ光を放ったのが童謡詩人・金子みすゞです。4つの雑誌に投稿した作品が、その全てに掲載されるという鮮烈なデビューを飾り、『童話』の選者であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されました。詩人として活躍した大正12年から昭和3年のわずか5年の間に500編を越える詩を創っています。

今では小学校の国語の教科書や道徳の副読本などで、全国の子供たちが金子みすゞの詩に親しんでいるといいます。また、みすゞの作品は英語、フランス語、ドイツ語、中国語等10ヶ国語に翻訳され、世界へと広がっています。

みすゞは26歳で自害してしまいますが、彼女の詩は、普段私たちが気に留めない自然の中のある存在を認識させ、その存在に対して考える何かを持たせてくれます。また、素直さと優しさ溢れる作品の数々は、21世紀に生きる私たちが忘れかけている大切なものを言葉で与えてくれていると思います。

姪の書いた「金子みすゞ」の詩『ふしぎ』