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レイコ・クルック著「赤とんぼ」

2013-11-01

諫早市出身でパリ在住のレイコ・クルックさんが自身の体験を基に書いた「赤とんぼ 1945年 桂子の日記」(長崎文献社 2013年7月)という本があります。

レイコさんは諫早市小野島で生まれ育ち、10歳の時、終戦を迎えました。その後、フランス人と結婚し、パリで特殊メーキャップアーティストの第一人者として活躍されていますが、終戦から68年経った今、埋もれ薄れ去られていく戦争の記憶を留めておきたいと一冊の本に纏めたそうです。

諫早平野の干拓地には第二次世界大戦中の三年間、長崎地方航空機乗員養成所が置かれていました。そこで飛行訓練をする練習機は翼が4枚あり橙色をしていたことから、現地の人から「赤とんぼ」と呼ばれていたそうです。レイコさんは、「赤とんぼ」が飛行する姿を間近で見ながら生活を送り、赤とんぼを通じて知った戦争の恐怖や長崎市に原爆が投下された1945年の夏の出来事を、10歳の少女が感じた生々しい戦争体験として綴られています。

私は、この養成所で訓練を受けたという長崎市内のお寺の住職さんから、この本を紹介していただきました。諫早市の近くに居ながら、訓練飛行場があったことも「赤とんぼ」が特攻機として出撃したという事実も知りませんでした。戦争の悲惨さ、平和の大切さを改めて噛み締めています。(N)

1383270514_NONALNUM-A5ECA5A4A5B3A1A6A5AFA5EBA5C3A5AFC3F8A1D6C0D6A4C8A4F3A4DCA1D7レイコ・クルック著「赤とんぼ」(長崎文献社 2013年7月)