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ジャポニズム

2008-07-09

ヨーロッパのジャポニズムに日本美術が与えた影響を実感できる展覧会「オルセー美術館コレクション特別展 フランスが夢見た日本―陶器に写した北斎、広重」(~8/3)が、東京国立博物館で開催中です。

日本が正式に西洋に紹介されたのは、初めて参加した第二回パリ万国博覧会(1867年)で、この年は大政奉還により明治政府が発足した年に当たります。本国では既に消滅していた徳川幕府でしたが、幕府、薩摩藩、佐賀藩が中心となり「日本館」を建設し、日本の工芸品や美術品を展示しました。その中に100枚ほどの浮世絵が展示され、19世紀末以降に活躍するヨーロッパの有名芸術家たちに多大なインスピレーションを与え、また、驚くほどの情熱を持つ浮世絵コレクターたちを出現させました。

そうして浮世絵を始めとした日本美術に対する西洋人の感受性の鋭さから、熱狂的な「ジャポニズム」ブームが巻き起こります。それは絵画だけでなく、陶磁器のデザインにおいても浮世絵版画の影響を受けた作品がたくさん制作されました。

19世紀末から20世紀にかけてヨーロッパで人気を博した「セルヴィス・ルソー」「セルヴィス・ランベール」のテーブルウエアの絵柄は、葛飾北斎や歌川広重などの浮世絵版画に着想を得て制作されているのが顕著に現れています。

今回の展覧会は、そのテーブルウエア作品と、作品の元絵となる浮世絵版画や版本とを対比させた展示になっていて、美の国フランスに大きな影響を与えた日本美術・文化の偉大さを感じることができるようです。

*ジャポニズム・・・正確にはジャポニスムですが、便宜上ジャポニズムと明記しています。

セルヴィス・ルソー「水切り付楕円形皿 鯉に朝顔図」

オルセー美術館蔵

歌川広重「魚づくし 鯉」 東京国立博物館蔵