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長崎歴史文化博物館「伊藤若冲と京の美術」

2014-04-19

長崎県歴史文化博物館で開催中の「伊藤若冲と京の美術-細見コレクションの精華」を鑑賞しました。

この展覧会は、京都にある細見美術館のコレクションの中から、平安・鎌倉・室町・桃山時代の風俗画や水墨画、陶磁器や蒔絵などと、琳派、伊藤若冲の作品の90点近くが展示紹介されていました。

まず、6曲1双の大画面に描かれた「祇園祭祭礼図屏風」や、狂言や人形浄瑠璃などが催される様子を描いた「四条河原図巻」など、四季を楽しみ、趣向を凝らした当時の生活が生き生きと伝わってくる屏風や絵巻物を見ました。また、色彩の美しい「伊勢物語かるた」や岩佐又兵衛が描いた「源氏物語図屏風」の絵画から、古典文学を美術作品として表現した教養の高さに感服しました。

それと、以前から実物を見たいと願っていた本阿弥光悦書に俵屋宗達下絵の和歌巻「あさがすみ」が展示されてあり、流麗な速筆と琳派の祖と呼ばれる宗達の無駄のない作風に触れることができて感激しました。

そして今回のメーン作品の伊藤若冲の鶏を描いた作品を堪能しました。若冲30歳代前半の作品と言われる「雪中雄鶏図」は、降り積もる雪の中に餌を求めて佇む鶏の真っ赤な鶏冠や漆黒の尾羽が緻密に描かれていて、奇怪な形の竹などから後の作風を見て取れました。また「郡鶏図」や「花鳥図押絵貼屏風」などほとんどの作品が水墨画でしたが、濃淡の描線や淡墨のにじみを生かした作風が力強く、鶏は様々にポーズが違い、ユーモア溢れる独創性を感じることができました。

夢中になって作品を見終えると何だか見落としたものがあるように感じて、もう一周して2時間あまり鑑賞しました。5月11日(日)までの開催です。(N)

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