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フランスワインの歴史背景

2008-07-31

フランスのボルドー地区のワイン最高格付けで「5大シャトー」と言われるトップ5があります。その中の「ラフィット・ロートシルト」、「ムートン・ロートシルト」の二つはロートシルト一族が所有するシャトーです。

日本初の鉄道(新橋―横浜間)開通は、明治の文明開化の象徴でした。その鉄道開通の為の資金を日本政府が借入れしたのが、ヨーロッパの金融資本家であるロスチャイルド家です。「ロスチャイルド」とはフランス語でロッチルド、ドイツ語ではロートシルトといい、ユダヤ系の閉鎖的な財閥でした。

ロスチャイルド家は代々ドイツのフランクフルトに住み、赤い盾(ロートシルト)を家紋として商業を営んでいましたが、マイヤーの代に世界有数の国際金融業者に成長しました。彼は長男をドイツに残し、次男をオーストリアのウイーン、三男をイギリスのロンドン、四男をフランスのパリへ派遣して、国際情報を事業に生かしながら、ナポレオンがヨーロッパを席巻する動乱期に巨万の富を得ました。

パリの四男ジェームスは、接待外交を通じてフランスの要人と結びつくために、ベルサイユ宮殿に次ぐフランス最高の美邸「フェリエール宮殿」を買い取り、政治家・文人・芸術家を招いた豪華なサロンを開催しました。となると、それに供されるワインも最高のものでなければなりません。彼は、ルイ15世時代のベルサイユ宮殿で最高の栄誉を欲しいままにしていたポンパドール婦人が所有するボルドーのワイン畑を手に入れ、その名前にパリのロスチャイルド銀行があった通りの名前のラフィットを使いました。「シャトー・ラフィット・ロートシルト」の誕生です。

またロンドンに住む3男ネイサンの息子の一人が、フランスに戻りラフィットの近くにあるワイン畑ブラーヌ・ムートンを購入しました。これが「シャトー・ムートン・ロートシルト」です。このムートン・ロートシルトは、1855年に始まったボルドーワインの格付け歴史の中で、唯一最高格付けを新規に与えられたことで有名です。

フランスワイン歴史のかじりを少し記しましたが、私はここ最近高価なフランスワインを飲む機会がありません。しかし、一緒に食する相手との有意義で楽しい会話があってこそ、美味しい楽しいワインを堪能することが出来るのではないでしょうか。私は密かに何本か保管している5大シャトーを、大切な家族の何かの記念日に封を開けたいと思っています。