「ニューヨーク・ボストン旅行記」4
4 フリック・コレクション
この美術館は、鉄鋼産業で巨万の富を成した実業家ヘンリー・クレイ・フリック(1849~1919年)が蒐集した世界屈指のプライベートコレクションを、新古典主義の豪奢なフリック氏の邸宅をそのまま美術館に変えて公開展示しています。
ここでは、中世から19世紀終わりまでをカバーするヨーロッパ絵画、彫刻、装飾美術の秀作の数々に出会うことが出来ました。エル・グレコやブリューゲル、コローにミレー、レンブランドにフェルメールなどの絵画、ブロンズ小像やセーヴルのポプリ壷、リモージュの七宝焼きやペルシャ絨毯などの優れた工芸品、またフラゴナールやブーシェの部屋のように美術的にも価値の高いインテリアを絵画と共に展示していました。
この館内は、住居としての趣が今でも残されていて、広い空間を多用した気品ある配置と抑えた古典的な表現を細部にまで施してあるので、他では見られない独特の魅力を讃えています。建物や中庭を始め、家具調度品、豪華な額縁や豪奢なカーペット、あるいは宝石の小箱などの装飾品に至るまで、鑑賞する楽しみをさらに強めてくれます。
30歳で既に億万長者となったフリック氏は、亡くなるまでの40年間美術品蒐集を続け、当時世界で最も目の肥えた蒐集家として注目されました。蒐集に対する強い思いと鑑定眼の素晴らしさに感嘆の連続でした。
*ここでは、フェルメール作品の『士官と笑う女性』『婦人と召使』『中断された音楽の稽古』の3点を鑑賞。今回の旅行で、計14点のフェルメール作品を鑑賞する機会を得ました。
ガーデンコート
階段
フラゴナールの部屋