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池坊巡回講座2014

2014-06-14

先日、長崎市民会館にて「池坊巡回講座2014」が開催され出席しました。

今年の巡回講座のテーマは「品格」。550年の伝統を持つ池坊華道の中で先人たちが育ててきた品格を、今の時代に相応しい品格として再発見することが今回の講座の目的です。

午前の部ではまず、作詞家でプロデューサーでもある秋元康さん出演の特別映像から始まりました。初めて自由花の生け花に挑戦した秋元さんは、花は心のビタミンCで暮らしに潤いが生まれ、生け花は今の心模様が剣山の上に映し出される一筆書きのようなもので生活の中の音楽であると語っていました。その後、池坊中央研修学院の野田学教授のデモストレーションと講演です。最初に七種伝の内「万年青」を取り上げ、伝書になぞり解説があり、お生花(しょうか)の一種生、二種生、生花正風体の三種生を二つ詳しい説明付きで活けました。次に、自由花では色使い、脇役の使い方、ひとめぼれ、おもてなしなどのテーマに添った3種類を実演しました。

午後の部は「立花」の解説から始まりました。立花は基本構成が複雑で、9つの役枝に6つのあしらいや副下などを挿し、針金やテープを使って形作っていきます。出来上がりは惚れ惚れするほど美しい生け花となって、会場からも感動のため息がこぼれました。私にとっては次の職位から稽古する型なので、予習のつもりで集中して受講しました。その後、現・家元の四十五世・専永先生が発表された現代の暮らしに適応した生花・立花の新しい形「立花新風体」と「生花新風体」のデモストレーションです。花材の取り合わせが大切で、空間を意識して活けることとの説明でした。余談ですが、専永先生は1962年に版画家・徳力富吉郎氏とアメリカ、ヨーロッパ及び東南アジア各国を歴訪され、初めての生け花海外活動を行っておられます。

講座の終わりは、野田教授が「世界をいける」をテーマに、出向していたアメリカ合衆国をイメージして、10数名のお手伝いの方と一緒に壁面やグレープフルーツを器に使って元気いっぱいの賑やかな作品を制作し、和の精神が薄れつつある今、華道を通じてもう一度その精神を見つめ直す機会になればとのお話しで講座を締めくくりました。

生け花は心を豊かにする心の文化の一つで、色や形といった見た目の美しさだけではなく、品格に触れ、品格を知ることでより心が豊かになると改めて思いました。(N)

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特別映像「秋元康×池坊いけばな」

1402708339_IMG1712-1立花新風体のデモストレーション

1402708339_IMG1722-1先生とお手伝いの方々による「世界をいける」