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「ニューヨーク・ボストン旅行記」7

2008-08-22

7 ボストン美術館

ボストン美術館は、エジプト美術、ギリシャ・ローマ美術、東洋美術、ヨーロッパ・アメリカ絵画、素描、版画、写真、テキスタイル、現代アートなど世界の美術品を広範囲に網羅した質の高い所蔵品を持つアメリカでも最大級の美術館です。

特に春信、北斎、歌麿、写楽等の錚々たる浮世絵や、尾形光琳、狩野永徳などの傑出した日本美術コレクションでも有名ですが、それらの充実したコレクション形成には3人の偉大なボストニアンと1人の日本人の関わりがあっています。

明治時代に日本を訪れ大森貝塚を発見したことで著名な動物学者のモース、そのモースに勧められ哲学教授として来日したフェノロサと医学者ビゲローの3人が、日本美術に魅せられ蒐集した数万点の作品を美術館へ寄贈しました。そして、日本の美術史家・岡倉天心はフェノロサの影響を受け美術品蒐集を手伝う一方、欧米の美術館や美術学校を視察した業績からボストン美術館の東洋部門の責任者として尽力しました。美術館西館の一角にある石と草木の枯山水の庭園「天心園」は、この岡倉天心の功績を記念して造られています。この4人の日本美術に対する強い憧憬と蒐集力で、日本国外では世界最高といわれる10万点にも及ぶ日本美術コレクションを誇る美術館となりました。

美術館新館の1・2階に分かれた日本美術セクションは、障子や畳を使用した凝った演出の展示スペースに刀剣類や快慶の仏像、若冲の掛軸、屏風、浮世絵等約300点が展示されてあります。特に2階部分は仏像を展示するため特別に造った寺院建築風のスペースになっていて、あたかも日本の寺院にいるような雰囲気を醸し出しています。 私が訪問時の浮世絵展示は、北斎、広重、歌麿の花鳥画展でした。保存管理の徹底により、現在でも色あせることなく鮮やかな色合いを保ったこれらの作品の数々、それに柱絵や絵本等をじっくり鑑賞し、世界に誇る日本美術の素晴らしさを再認識することができました。

ヨーロッパ絵画セクションは、ルーベンスやレンブランドなどの17世紀オランダ・フランドル絵画、エル・グレコやベラスケスなどのスペイン絵画、ミレーやコロー、ゴーギャンやドラクロアなどのフランス絵画等が展示されてあり、なかでも印象派ブースは日本でも人気の高いモネやルノアールなどの名画が多数展示されていて充実度満点でした。

その他にも、ハーバード大学と共同発掘調査の集大成との説明があったエジプト美術、オキーフやポロックなどの現代アメリカ絵画、ターナー特別展と世界トップレベルの様々な作品をゆっくりと鑑賞し、感動を心いっぱいに受け止め、憧れのボストン美術館を後にしました。

ボストン美術館は日本の名古屋市にも分館を持ち、また現在、福岡市美術館では「ボストン美術館 浮世絵名品展」(~31日まで)が開かれています。この展覧会にも出かけたいなと考えております。

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館内

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快慶 『弥勒菩薩』

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浮世絵/花鳥画