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美人画について~(1)~

2008-09-03

「美人」はいつの時代も人々の関心を集める大変魅力的なテーマで、古くから多くの画家たちが様々な女性像を描いてきました。一般的に、女性的な容姿や内面の美しさ、いわゆる女性美をモチーフにした絵画を「美人画」(美人絵や美人図ともいう)といい、浮世絵版画でも重要な主題の一つで、私も大好きなジャンルです。

私が最初に触れた美人画は、田舎の自宅リビングに掛けてあった橋口五葉の『化粧の女』というポスター作品です。片肌を脱いで鏡を見ながら首筋に白粉を塗るポーズや精緻に描かれた赤い着物の模様の艶やかさ、そして何より女性の表情に目を奪われ、子供ながらに胸ときめかせドキドキしながら見惚れていた記憶があります。

その他、自宅の壁面にはダヴィンチの『モナ・リザ』やルノアールの『少女(イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢)』など(もちろん印刷物)の女性を描いた作品が飾ってありました。   西洋画には美しい女性を描いた作品が数多くありますが、そのテーマはほとんどの場合宗教や神話を主題に据えてあるため、女性美をモチーフにしていると判断しにくく美人画の対象からは外されています。

その一方で、美人画に描かれる対象は必ずしも女性に限らず、歌舞伎の女形や美少年、若衆や男娼などを描いた作品を含める場合もあります。

浮世絵を原点とし花開いた美人画について、少し書いてみようと思います。

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橋口五葉 『化粧の女』