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富本憲吉「土を化して 玉を造る術 即ち陶器」

2014-08-23

美術館事務室には、富本憲吉の「土を化して 玉を造る術  即ち陶器」と書かれた直筆色紙を飾っています。

奈良出身の芸術家で近代陶芸の巨匠として知られる人間国宝・富本憲吉(1886~1963年)は、親友バーナード・リーチとの交流の中から楽焼に取り組み始め、白磁、染付、色絵と作域を広げました。戦後は京都に拠点を移し、色絵に金銀彩を同時焼付する技法を完成させ、華麗で品格の高い世界を創り出しました。

富本の「模様から模様を作らず」という言葉に分かるように、独自の新たな模様を次々に創造しましたが、豊富なモチーフを引き立てるのは気品ある美しい器状があるからだと思います。即ち、富本ならではの端正な美を称えた作品は「土を化して 玉を造る術  即ち陶器」という美しい言葉に尽きるのだと思います。

日本の陶芸の近代化に大きな役割を果たした富本憲吉の陶芸作品に、近いうちにまた触れたいと思います。(N)

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「瑠璃釉トリカブト葉模様八角蓋付壺」(1931年 奈良県立美術館)

「色絵金彩羊歯模様 大飾壺」(1960年 京都国立近代美術館)